このカメラは「Classic Camera Beginners' Club」のtibikoronさんの下からminocatのところへやって来ました。本機はブームが去ってから20年近く経った後の久々のハーフサイズ、しかも世界で初めての2焦点切替式カメラとして発売されました。世界初の2焦点はワイド、テレそれぞれに専用のレンズとシャッターを備え、正面の大きなダイヤルを左右に180度回転させることによって切替えました。 |
ワイド23mm(フルサイズ換算34mm)、テレ69mm(同100mm)で焦点距離差は3倍。内部では2枚のミラーがダイヤルに連動して動き、光学系を切り替えることによって各々のレンズに対応していました。
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フィルムの巻上げと巻戻しはモーターで行われましたが、更にドロップ・イン・ローディングとプレワインディング方式(フィルムを入れると一旦全て巻上げ、撮影が済んだコマからパトローネに巻戻される)が採用されていました。かつてのハーフサイズカメラはフレームが縦長でしたが、このカメラはフィルムを上下に巻くことによってフルサイズと同じ横長になっていました。 |
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バッテリーは2/3A型リチウム電池(φ17×L33.5mm)を2個使い、交換はメーカーが一旦預かって行う想定でしたが、CR123A(φ17×L34.5mm)でもバッテリーボックスに2個入るので家庭でも交換できました。
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ワイドでは1m以上のパンフォーカスですが、ワイド用レンズの横のスライドレバーによってフラッシュを強制発光させ、被写界深度を稼ぐことによって50cmまでの近接撮影もできました。しかもこのスライドレバーに連動してファインダーのフレームを動かし、パララックスを補正する仕組みになっていました。テレでは3点ゾーンフォーカスで、テレ用レンズの横にあるスライドレバーで4〜6m、6〜12m、12m〜∞に合わせるようになっていました。フラッシュはワイド時のみの低輝度時自動発光で、テレ時は発光しませんでした。TV MODEボタンを押すと、シャッター速度1/30秒になり、さらにフラッシュの発光が禁止されました。BLCボタンを押すと逆光補正としてプラス2EVになりました。フィルム感度はISO100〜1600のDX対応。シャッターと一緒にすぐ脇の小さなCボタンを押すと、2コマ/秒の連続撮影も可能でした。
他のサイトの作例を見て、minocatはこのカメラの写りには期待していました。実際に自分で使ってみて、確かに「しっかり写る」というのが最初の印象でした。ハーフサイズと言う小さなフォーマットですが、サービスサイズだったら十分に綺麗なプリントが得られると思いました。35mmフィルムを使い、これだけの機能を持ちながらYシャツの胸ポケットにすっぽり収まるカメラは他には無かったでしょう。 |