AUTO SHOT

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本機は、当時のフルサイズ判のカメラとしては、画期的なコンパクトボディを持って登場しました。しかし、そのスタイルはご覧のように実に奇妙なものでした。底にある大きな2つのダイヤル、レンズのまわりをぐるりと囲むド派手なセレンとその中にある極端に小さなケプラー式ファインダー、前面についた一見レバーと見紛う形のシャッター・・・咄嗟に構えようとすると必ず上下を間違える・・・まさに「なんじゃ、こりゃ?」なスタイル。

見た目だけではありません。使った感触も「なんじゃ、こりゃ?」でした。自動巻上げ機構により、底の大きなダイヤルでスプリングをフルに巻いておけば10コマ以上の連続撮影が可能。しかし、連続撮影と言ってもモータードライブのようにシャッターは押しっ放しではなく一コマずつ押さねばならず、しかもスプリングが緩むにつれてだんだん巻上げ速度が遅くなっていきました。ピント合わせは目測式ですが、ピクト(絵)とメートル(数値)の相関も、距離によってレンズの周囲と裏蓋とに分かれて記載されているので戸惑ってしまいました。また、遠くから近くへピントを移動するときは、"ヘリコイドをまわす" というよりも "ネジを緩めていく" ような怪しい感触。初めて触ったときは、ピントリングだけが回ってレンズが動いていないものと思いピントリングの横のネジをきつく締めたら、今度はピントリング自体が回らなくなってしまって慌てて緩め直すという始末・・・(^^;

と、ここまで読むとminocatはこのカメラが “大嫌い” に思われるかもしれませんが、実は “大好き” なのです。良かれ悪かれ個性的で面白いですし、オート時はシャッター速度が1/125秒に固定され、絞りのみの変化という簡略化された露出合わせであるにもかかわらず、なかなかイケてる写りを見せてくれたから。
ファインダー構造とフラッシュガンになる別売りレンズキャップ
ちなみにこのカメラは義父が1960年代半ばに買ったもので、妻の実家で20年ほど眠っていました。譲り受けたときはレンズに若干カビがありましたが、分解して拭ってしまいました。本機は裏蓋の内側に多量のモルトを使っており、そのモルトの劣化が多く報告されていますが、運良くこの個体は免れていました。

発売:1964年4月 / 当時価格:14,600円 / レンズ:RIKENON 35mmF2.8(3群4枚)
シャッター:RICOH製(B・1/30秒(オート解除時)・1/125秒(オート時))
受光素子:セレン / ピント合わせ:目測式 / フラッシュ:なし / 電源:不要
サイズ:113×73.5×56.5mm / 重量:約440g










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